
はじめに
対称三相交流はその利便性ゆえに、電灯負荷への送電だけでなく電動機への送電にも使用される。理由は、いくつかあり、1つは位相が120度ずれているので、回転の情報を送電線に載せられ、回転機の使用に有利であるということが挙げられる。2つ目は、三相の電位の和が0となるので、Y結線であっても中性点を省略することができ、3線で送電することが可能である。これによって、送電線の本数を削減することが可能となり経済的な運用が可能になる。
本記事では、Y結線において三相の相電圧の和が0となり、線間電圧の大きさが√3倍になって位相が30度ずれるということをpythonを用いて示そうと思う。ただし、電験受験生は、位相がどちらにずれるかまでは暗記しておく必要はなく、三角形のベクトル図を書けたら十分であると考えられる。
スター結線
まず、前提条件となる相電圧と図は以下の通りである。
ためしに、線間電圧について求めてみる。
プログラミング
これをpythonで実装すると以下の通りである。
import matplotlib.pyplot as plt import numpy as np import math f=50 #周波数 omega = 2*math.pi*f E=100 t = np.linspace(0, 1/f, 500) y1= (2**0.5)*E*np.sin(omega*t) y2= (2**0.5)*E*np.sin(omega*t-2*math.pi/3) y3= (2**0.5)*E*np.sin(omega*t-4*math.pi/3) c1,c2,c3,c4,c5,c6,c7= 'blue', 'green','red','yellow','pink','orangered','black' plt.plot(t, y1, color=c1, ) plt.plot(t, y2, color=c2, ) plt.plot(t, y3, color=c3, ) #大きさが√3倍になり位相が相電圧と比較して30度だけずれる plt.plot(t, y1-y2, color=c4, ) plt.plot(t, y2-y3, color=c5, ) plt.plot(t, y3-y1, color=c6, ) #3相交流の和はゼロ(重ねの理により) plt.plot(t, y1+y2+y3, color=c7, ) plt.show()
これを実行した場合は以下の様なグラフを得ることが出来るだろう。
これにより、線間電圧は相電圧の√3倍になり、位相は30度だけずれるということが分かる。一方で、3つの相電圧の和は0となることも重要な性質なので抑えておこう。
まとめ
Y結線では、線間電圧が相電圧の√3倍になり、位相が30度だけ相電圧と比較してずれるということがグラフを描くことによって分かった。また、三相の相電圧の和が0になるということも示すことが出来た。これらは、電験受験生にとっては暗記事項ではあるが、ベクトル、複素数、三角関数のいずれの計算でも自由自在に証明することができるようになると頼もしい限りである。

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