はじめに
近年の世界情勢や環境問題を考えると、我が国のベース電源である原子力発電や、石炭気力発電は、長期的には減少させていくべきだという考えがある。
そのためには、再エネ資源による発電方式の割合を増やすべきであるが、その場合は、慣性力の低下によって、受電端の負荷と同期がとれなくなる脱調現象が生じる恐れが高くなる。これによって、系統全体がダウンして送電困難になる恐れがある。なので、本記事では、再エネの導入と系統の安定度について述べた。
汽力発電と原子力発電
汽力発電と原子力発電は、燃料を反応させてそのエネルギーを電気エネルギーに変換する。なので、人間がその出力を制御することが他の発電方式と比較して容易い。そこで、これら発電方式は、常に安定供給できることからベース電力として使用することが出来る。特に、原子力や石炭汽力発電は、他の発電方式と比較して安く発電することが可能である。また、電圧や周波数もほぼ一定に保つことが出来るといった特徴がある。
ただし、近年は、環境問題やウクライナ問題などによって、それら発電方式について抑止力が働いているので、再エネ技術の導入や蓄電池の利用といった取り組みがなされている。
再エネ導入と過渡安定度
太陽光発電の場合は、インバーターを用いて交流に変換して系統に突入する必要性がある。しかし、回転機とは異なり、運動エネルギー、慣性力を持たないため、過渡安定度が悪化する恐れがある。なので、再エネが多い系統では発電機が脱調して系統全体が送電困難になるといった問題も生じる可能性がある。
なので、対策としては、送電線を複線にしてインダクタンスを減らしたり、力率を改善するといった対策が考えられる。しかし、休日の昼間など、太陽光発電の割合が回転発電機と比較して上昇する場合は、系統が脱調して送電困難にならないように気を付けなければならない。
まとめ
再エネ以外にも、水素燃料による発電やアンモニア燃料による発電、バイオマス発電といった、カーボンニュートラルな燃料を用いた発電方式も期待されている。もちろんそれら発電様式は、石炭汽力発電や原子力発電と比較して出力電圧と周波数を制御しずらいので、安定度が低下する恐れがある。
さらに、回転発電機の割合が増えた場合には慣性力の低下によって同期がとりずらくなることもある。具体的な対策方式は、同期調相器による慣性力の増加や、送電線のインダクタンスを複線化により低減するなどの対策が考えられる。
参考文献

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