
はじめに
マクスウェル方程式は、電界と磁界の分布を解析する上で重要なツールとなるので、紹介する。本記事では、積分系を示した後に微分系を示す。ただし、それらのビジュアライズにPythonを使用した。
ガウスの法則
クーロンの法則を面積積分することにより導出することが出来る電界と電荷の関係式の事を言う。
まず、クーロンの法則は以下の様になる。
これを変形すると以下の通り。
ゆえに、
dV
となることが分かる。これを積分型という。
一方で、以下のガウスの発散定理を適用すると次のようになる。
これにより、以下の微分系が導出できる。
これを湧き出しといい、以下の様なイメージの分布となる。
上の画像は電荷が正の場合である。一方で、電荷が負の場合は、吸い付くので下の様になる。
この画像の生成に用いたコードは以下の様になる。
#原点にある1つの点電荷が作る静電場をメッシュにより作成して、ベクトル場表示するプログラム #電荷の量を入力すると、それに応じた電界が存在する。 import numpy as np import matplotlib.pyplot as plt plt.figure() LX, LY=2.1,2.1 # メッシュのためのパラメータ gridwidth=0.33 X, Y= np.meshgrid(np.arange(-LX, LX, gridwidth), np.arange(-LY, LY,gridwidth)) # メッシュ生成 R = np.sqrt(X**2+Y**2) # 原点からの距離 #点電荷の位置座標と電荷 X1,Y1=0,0 # 原点への電荷の配置 Q1=int(input("電荷量を入力してください")) # 電荷量の設定 R1=np.sqrt((X-X1)**2+(Y-Y1)**2) # この電荷から任意点(X,Y)までの距離 plt.plot(X1,Y1,'o',color='blue') # 点電荷を描画 # ベクトル関数 F(U(x,y), V(x,y))を定義。静電場の表式を用いる。 U = Q1*(X-X1)/(R1**2) V = Q1*(Y-Y1)/(R1**2) plt.quiver(X,Y,U,V,color='red',angles='xy',scale_units='xy', scale=5.0) # ベクトル場をプロット plt.xlim([-LX,LX]) # 描くXの範囲 plt.ylim([-LY,LY]) # 描くyの範囲 # グラフ描画 plt.grid() plt.draw() plt.show()
S・N極だけの磁極は存在しないという法則
この法則は、N極だけ、S極だけの磁石は作れず、必ず、湧き出しが存在すれば、吸出しが存在することを示している。
これにより、ガウスの発散定理を使用した場合、微分系は以下の様になる。
ファラデーの法則
この記事を読んでいる方なら、聞いたこともあるという人が多いと思うが一応解説する。
コイルが磁石に接近したり遠ざかったりするとコイルに起電力が生じるというものだ。具体的に言うと、コイルに変化する磁束が貫通するときに、電圧が生じるというものだ。これは、式で表すと以下の様になる。
電圧を電界で表して整理すると、以下の様になる。
ここで、以下のストークスの定理を用いて、積分領域をそろえた後に綺麗にすると、微分系の式が得られる。
変位電流含むアンペールの法則
変位電流とは
変位電流をI1と置くと、コンデンサの式と電界の関係より以下の様に表すことが出来る。
ゆえに、変位電流まで考慮したアンペールの法則は以下の様になる。
ストークスの定理より、
面積分を打ち消すと微分系になる。
これは、電流の周りに渦の様に磁界が発生するということを示している。
以下のPythonコードでその様子を見てみよう。
""" 原点を通る定常電流が作る静磁場をベクトルポテンシャルで求めた """ #電流の正負を入力すると回転の方向が変化する。 import numpy as np import matplotlib.pyplot as plt plt.figure() LX, LY=3,3 gridwidth=0.3 X, Y= np.meshgrid(np.arange(-LX, LX, gridwidth), np.arange(-LY, LY,gridwidth)) R = np.sqrt(X**2+Y**2) #点電荷の位置座標と電荷 X1,Y1=0,0 I=int(input("電流値を入力してください")) #定常電流の値 R1=np.sqrt((X-X1)**2+(Y-Y1)**2) plt.plot(X1,Y1,'o',color='blue') #ベクトル関数の設定。定常電流が作る静磁場 F(U(x,y), V(x,y)) U = I*-1*(Y-Y1)/(R1) V = I*(X-X1)/(R1) plt.quiver(X,Y,U,V,color='red',angles='xy',scale_units='xy', scale=4.5) plt.xlim([-LX,LX]) plt.ylim([-LY,LY]) # グラフ描画 plt.grid() plt.draw() plt.show()
電流が正の時は以下の様になる。
一方で、電流が負の時は以下の様になる。
この様に電流の向きによって、磁界の回転する方向が異なることが分かった。
まとめ
マクスウェル方程式は4つあり、それらを用いることによって電界と磁界の分布を表すことが出来る。これらは基本法則と呼ばれていて、境界条件さえ与えれば単純な問題ならば、手計算でも解析することが可能である。しかし、複雑な計算やグラフ化の場合は、コンピューターを用いると良い場合が多い。
参考文献

電材館 第二種電気工事士 技能試験セット 「 電線2回分 」 「 ホーザン 工具 」 「 動画解説・テキスト付き 」 2023年
参加者500人以上
電験三種や電気工事士など
資格合格を目指す人が集まる
無料のオンラインサロン
【みんなのデンキ塾】
コメント