
はじめに
RLC直列交流回路の電流値を求める際は、単に電流の大きさだけでなく、位相が電圧に関して進むのか遅れるのかまでチェックしなければならない。一般的に位相差を求めるためには、三角関数の逆関数や三角関数の合成公式を使用する必要性があるため、その部分をPythonによる数値解析に置き換えて、電流と電圧の特性を調べることを本記事の目的とした。
電流値の導出
回路の抵抗、インダクタンス、キャパシタンスをそれぞれ以下の様にする。
この場合、RLC直列回路に流れる電流は、以下の様に表すことが出来る。
ただし、電圧は以下の様に表されるとする。
また、αは以下の様な三角形の底角とする。
つまり、
Pythonプログラム
このことに留意してPythonでプログラミングを書くと以下の様になる。
import numpy as np import matplotlib.pyplot as plt import math R=int((input("抵抗値を入力してください"))) X_L=int((input("インダクタンスを入力してください"))) X_C=int((input("キャパシタンスを入力してください"))) V=100 a=float((X_L-X_C)/R) x = np.arange(-5, 5, 0.1) y1 = V*np.sin(x) y2 = V*np.sin(x+math.atan(a))/(R**2+(X_L-X_C)**2)**0.5 plt.title("交流:直列RCL回路における電流特性", fontname="MS Gothic")#日本語化 plt.xlabel("time") plt.ylabel("size") plt.plot(x, y1, label="V",) # labelに凡例に表示する文字を指定 plt.plot(x, y2, label="I") plt.legend() # 凡例を表示 plt.xlim(-np.pi, np.pi) plt.ylim(-1.2*V, 1.2*V) plt.show()
ここでは、R=1Ω,XL=2Ω,XC=1Ωの時の遅れ位相のグラフを以下に示す。
このように、電流の位相が基準となる電圧の位相に比べて遅れてしまうことが分かる。
次に、R=2Ω,XL=2Ω,XC=2Ωの時のグラフを以下に示す。
この様に、電流と電圧が同相になることが分かる。
最後に、電流が進みになる場合のグラフを以下に示す。
(R=1Ω,XL=2Ω,XC=3Ω)
まとめ
今回はPythonを用いてRLC直列回路の位相解析を行った。これにより、リアクトルがキャパシタンスよりも優位となる一般的な状態の場合は、電流が電圧よりも遅れの位相を取ることが分かった。一方で、インダクタンスとキャパシタンスが同じ場合は、位相が電圧と電流で同相になり、キャパシタンス優位の場合は電流の位相が電圧の位相に対して進みになることが確認できた。
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