はじめに
電験の理論問題で、ハシゴ状につなげた抵抗の合成抵抗を求めるといった問題がある。このような解法には一般的に漸化式を用いて解くのだが、本記事ではその解法について示した後に、Pythonを使った再帰による漸化式計算のアルゴリズムによりその解の妥当性と計算の収束状況について確認した。
問題提起
以下のような、ハシゴ状に抵抗が無限に接続されている抵抗線の合成抵抗を求めろという問題がよくある。この問題に関しての解法を示す。この考え方は伝送線路などの勉強においても役立つだろう。前提となる考え方は、無限大の長さの母線を少し伸ばしたところで抵抗値はさほど変化しないということだ。
この回路をそのまま解析することは難しい。そこで、以下のように数列で考えてみよう。
このような無限大や微小変化といったキーワードには、数列を作り漸化式で解析するというのがお決まりの流れだからである。
ここではハシゴが一段増加することによって、nの値が1だけ増加するという抵抗モデルで考えた。
これで、大分スッキリしたのではないだろうか?
これを解くと以下のようになる。
ここで、n→∞の場合は、n+1→∞とも考えることができるので、
となるので、
と考えることが出来る。
これを、整理した場合は以下のようになる。
ここで、
とした場合は、
この2次方程式を解いて、正の抵抗値のみ抽出して、R∞=120[Ω]となる。
今回の問題はTwitterのろくさんから頂いた。
— イルカ24卒就活 (@arairuca) December 23, 2022
参考:pythonでのプログラミング例
nを大きくしていく時、どれくらいの速度で120に収束していくのかを知りたかったので、漸化式を再帰的に解くプログラムを作成した。
import matplotlib.pyplot as plt import japanize_matplotlib import numpy as np R_1 =100 R_2 = 24 #再帰的に漸化式から値を推定 def resistance(n): if n ==1: return R_1+R_2 else: return R_1+R_2*resistance(n-1)/(R_2+resistance(n-1)) #グラフ化 plt.title("ハシゴ型抵抗の合成抵抗値[Ω]") plt.xlabel("n") plt.ylabel("合成抵抗値[Ω]") #n=1から10までを計算する for i in range(1,10): plt.scatter(i, resistance(i)) plt.show()
このプログラムを実行すると以下の様になる。(nが大きくなりすぎると計算時間が膨大になってしまう)
これを見るに比較的に収束が速く、ラダーを2つか3つ程度つなげるだけで無限大につなげるという条件はクリアできそうである。
参考文献

電材館 第二種電気工事士 技能試験セット 「 電線2回分 」 「 ホーザン 工具 」 「 動画解説・テキスト付き 」 2023年
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