方形波のフーリエ変換と第3調波

方形波のフーリエ変換と第3調波

はじめに

一般に電気工学のパワエレの分野においてフーリエ変換は使用される。理由としては、非連続な方形波を扱う際に、三角関数の無限級数に分解することで第3調波が含まれているかを確認する為である。一般的に、第3調波は高調波と呼ばれ機器のノイズの原因となる。ゆえに、本稿では、フーリエ変換について考察した後に、方形波のフーリエ変換について述べることにする。

定義

とある関数をf(x)として周期Tである関数とした場合、それは三角関数の無限和で表すことが出来ると仮定したものがフーリエ変換(フーリエ級数)の第一歩である。すなわち、以下の式が成立する。

ここで、未知数であるを求めてみよう。

(1)を求める。

まず、n=1の時を考察する。上式を0からTまで積分した場合、右辺の三角関数の積分は全て0になるので、

一方でn>1の時を考察すると以下の様になる。

まずは、両辺にをかけて0からTまで積分すると、

(2)を求める。

両辺に、をかけて0からTまで積分すると、

となる。これを複素数まで拡張すると以下のフーリエ変換の公式が出てくる。

 

ちなみに上式の定義は、時間領域から周波数領域への変換を意味していて、指数関数の複素数は、波動性を意味している。また、ラプラス変換にも似ているところがあるのが興味深い。

方形波

方形波のフーリエ変換

それでは、お待ちかね方形波のフーリエ変換について考えてみよう。

という方形波について考察してみよう。

フーリエ変換すると以下の様になる。

さて、これをpythonでのコードで表してみよう。

Pythonコード

from scipy import signal#方形波を作るのに使用
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
import japanize_matplotlib
import math
V=1

n= int(input("和の回数を入力してください"))


x = np.arange(0.0, 2*math.pi, 0.02)
y=0

for num in range(n):
    y=y+(1/(2*num+1))*np.sin((2*num+1)*x)

y=y*(4*V/math.pi)

plt.plot(x, y,color="red", label="フーリエ変換")


y2 = signal.square(x)

plt.plot(x, y2,color="blue", label="方形波")
plt.title('フーリエ変換:方形波,n='+str(num+1))
plt.legend() #凡例

#グラフを画像として保存
plt.savefig('フーリエ変換' +str(num+1)+ ".png")

plt.show()



nの積算回数を上昇させれば計算時間は比例的に増加するが精度は良くなるといえる。

まず、n=3の時のグラフを以下に示す。

この様に、粗くはあるが方形波を近似できていることが分かる。

次にn=5の場合を示す。

次にn=10の場合を示す

この様に、非連続的な角の場所以外は上手く近似できていることが分かる。

最後に、n=100の場合を示す。

非連続的な箇所以外は十分な精度で近似できている事がわかる。

まとめ

フーリエ変換は様々なところで使用されている。電気工学は振動を扱う学問でもあるので、フーリエ変換との相性は抜群である。今回は、パワエレにとって基本的な波形である方形波についてフーリエ変換を行い、基準周波数の3倍の波形である第3高調波が生じているということを確認した。

参考文献

フーリエ級数について

フーリエ変換の定義



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