送電線の電圧降下について

送電線路は距離が長いため、電線の抵抗やリアクタンスによって発電所や変電所から供給される電圧と需要側の電圧に差が発生します。
主に、送電線による静電容量が無視できる場合と無視できない場合で異なる特性を示します。

1.送電線の静電容量が無視できる場合

その差を送電線路の電圧降下といいますが、本項では送電線の電圧降下について取り上げましょう。

下の図は理想的な単相2線式交流回路と、送電線路が1kmある送電線路の等価回路をあらわした図です。

左の図のような理想的交流回路であれば、電線の抵抗やリアクタンスは無視できます。
しかし、右の図のように送電線が長距離の場合は抵抗やリアクタンスを無視することはできず、単相2線式の場合は、以下の式で表します。
(ここで、静電容量は無視するというのは少し荒っぽいのではないかと思った読者さんもいると思います。静電容量は力率を進めることで対応しますがここでは一旦無視します。この場合は比較的短距離での送電だとお考えください)

 

一方で3相3線式の場合は以下の式になります。

これらの式は直角三角形の電圧ベクトル図と近似の関係を使えば10秒ほどで導出できるので自信がない人はテキストなどで復習しておきましょう!!

特に3相3線式は一般的な送電方式なので、電圧降下の求め方は覚えておくようにしましょう。

2.送電線の静電容量が無視できない場合

送電線では、電圧降下のように需要側で電圧が低くなるだけでなく、需要側の電圧が上昇してしまうことがあります。それをフェランチ効果といいます。

短距離では電圧降下するのに対して長距離では進み力率になり電圧上昇するというのは面白いですね。

フェランチ効果は長距離の送電線路や負荷が非常に軽い深夜帯といった進み力率の場合に発生しやすく、それゆえに電線路の静電容量が大きいほどあらわれやすくなります。

この現象は電線路に進み電流が流れることが原因です。フェランチ効果は、送電においては望ましくないので、できる限り軽減する必要があります。

そこで、遅れ無効電力を与えることで、進み電流を打ち消す分路リアクトルなど調相設備を設置するのが、フェランチ効果軽減に有効な手段です。

送電線路の電圧降下やフェランチ効果も、送電線の保守管理において重要な知識です。
計算式とそれぞれの現象がどのようにして起きるかはしっかり覚えておくようにしましょう。

まとめ

以上のことを電圧のベクトル図でまとめると以下のようになります。
このベクトル図は試験では頻出なので書けるようにしておきましよう!!

 

電験3種試験まであと 日です!!


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