OFケーブルは、送電ケーブルとして広く用いられているが、絶縁紙に油を供給しているために発火のリスクがある。
そこで、近年は架橋ポリエチレンを使用したCVケーブルの使用が盛んである。
一方で、デメリットとして、架橋時の残留不純物によって生じるトリー現象や、水トリー現象による絶縁破壊がある。
なので、今回はそれらケーブルの絶縁診断について述べる。
CVケーブル
CVケーブルは、架橋ポリエチレンを絶縁膜としたケーブルである。
正式名称は、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(Cross-linked polyethylene insulated Vinyl sheath cable)である。
架橋ポリエチレンとは、以下の様にポリエチレンの炭素骨格でポリエチレン同士を架橋することによって、網目状の巨大な分子を形成する。これによって、耐熱性・耐久性の向上が期待される。
ただし、架橋時に生成する残りかすが原因でトリー現象が発生するのではないかという研究結果もある。
誘電正接測定
絶縁試験や誘電正接試験の場合、ケーブルは以下の等価回路で表すことが出来る。
これは、ケーブル自体の静電容量と抵抗成分の並列接続と考えられるので、ベクトル図は以下の様になる。
これによって、誘電正接を測定することで、絶縁膜の抵抗値の大きさが分かるので、全体的なケーブルの劣化具合を知ることが出来る。
直流漏れ電流測定
交流ではなく、直流の漏れ電流をクランプなどを使用して計測する。これにより、絶縁膜の抵抗値の変化を推定して、ケーブルの劣化具合を検知する。
OFケーブル
OFケーブル(Oil Filled cable)とは、絶縁紙に絶縁油を供給することにより高い絶縁性を維持するケーブルの事である。
油中ガス分析
絶縁紙に浸透する絶縁油は、絶縁破壊などによるアーク衝撃や熱衝撃等により分解されて、アセチレンやメチレンガスなどを分泌することがある。このガスをクロマトグラフィーにより分析する。
まとめ
CVケーブルには、トリー現象による絶縁低下、OFケーブルには、絶縁油による火災の恐れといったデメリットが存在する。
なので、施工の際にはそれらの特性を考慮した上で、合理的に行う必要性がある。今回は、それらの問題点とそれに応じた検査方式の一例について紹介した。
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