キルヒホッフの法則を用いたブリッジ回路の連立方程式的解法

キルヒホッフの法則を用いたブリッジ回路の連立方程式的解法

はじめに

キルヒホッフの法則は、直流回路の解析において強力な手段として一般的に知られている。しかし、キルヒホッフの法則ににおいて現れる式は1次の連立方程式である。ゆえに、複雑な回路の場合、それらを手計算で解析的に解くのは難しい。なので、数値を求める問題においては、ガウス法といった手法があるが、今回はsympyというライブラリを用いて代数的にブリッジ回路に流れる電流について求めて、その電流値が0になるための条件について考察する。

ブリッジ回路について

ブリッジ回路とは上記のように回路に橋が形成されているような回路である。一般的にこの回路の電流特性を調べるためには、以下の様に複雑な連立方程式を解く必要がある。

電流が流れない時の条件

電流が流れない条件は以下の様に表すことが出来る。ただしkは5つの抵抗によって決まる0以外の変数とする。

今回はこれをプログラミングによって証明してみる。

pythonを用いた代数解析

それでは、上記の連立方程式から電流値を求めるプログラムを書いてみよう。
題意のプログラムは以下の通りである。

import sympy as sp
sp.init_printing()
sp.var('R_1,R_2,R_3,R_4,R_5,I_1,I_2,I,V') #変数、定数設定
#方程式提示
eq1=sp.Eq(R_1*I_1+R_3*(I_1-I), V) 
eq2=sp.Eq(R_2*I_2+R_4*(I+I_2), V)
eq3=sp.Eq( R_1*I_1+R_5*I,R_2*I_2)
print(sp.solve ([eq1, eq2,eq3], [I, I_1,I_2])) 

#代数解は以下の様に凄く複雑になる!!

#{I: (-R_1*R_4*V + R_2*R_3*V)/(R_1*R_2*R_3 + R_1*R_2*R_4 + R_1*R_2*R_5 + R_1*R_3*R_4 + R_1*R_4*R_5 + R_2*R_3*R_4 + R_2*R_3*R_5 + R_3*R_4*R_5), I_1: (R_2*R_3*V + R_2*R_4*V + R_2*R_5*V + R_4*R_5*V)/(R_1*R_2*R_3 + R_1*R_2*R_4 + R_1*R_2*R_5 + R_1*R_3*R_4 + R_1*R_4*R_5 + R_2*R_3*R_4 + R_2*R_3*R_5 + R_3*R_4*R_5), I_2: (R_1*R_3*V + R_1*R_4*V + R_1*R_5*V + R_3*R_5*V)/(R_1*R_2*R_3 + R_1*R_2*R_4 + R_1*R_2*R_5 + R_1*R_3*R_4 + R_1*R_4*R_5 + R_2*R_3*R_4 + R_2*R_3*R_5 + R_3*R_4*R_5)}

まとめ

キルヒホッフの法則を用いて回路を解析する場合は複雑な連立方程式を解く必要性がある。電験対策としては手計算でやると良いかもしれないが、一般にはコンピューターを用いた演算で解くことがほとんどであろう。今回は、そのような回路計算の中で有名なブリッジ回路を扱った。興味のある人は、プログラミングによる計算だけでなく、手計算でも解析してみることを、電験を受ける人にはおすすめしたい。



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