
送電線で送る電力は残念ながら100%末端まで届かず、伝送の途中で電力が失われてしまいます。
そのような電力を電力損失といい、本項では電力損失の種類と損失の計算を取り上げましょう。
電力損失の主な種類は以下の通りです。
架空電線路で生じる損失のほとんどは抵抗損で、単相2線式線路と三相3線式線路では計算式が違います。
単相2線式線路の電力Pと抵抗損Peは下記の式で表せます。
P=VIcosθ〔W〕
Pe=2I2R〔W〕
上記の抵抗損の式に電力の式を代入すると下記のように表します。
この式を見るとわかるように、力率cosθと電圧Vを大きくすれば抵抗損が少なくなるとわかります。これが高圧で伝送される理由の一つです。
三相3線式線路の電力Pと抵抗損Peは下記の式で表します。
上記の抵抗損の式に電力の式を代入してみましょう。
この式から三相3線式線路の抵抗損は、単相2線式の半分で済む効率的な方式だと言えます。
次にシース損や誘導体損について取り上げましょう。
この二つの損失は電力ケーブルを使用する損失で、主に電力ケーブルのみが使用される地中電線路で発生します。
誘電体損は、交流電圧がかかったケーブルの絶縁体の中で発生する損失で、電気エネルギーの一部が熱エネルギーになる損失です。
シース損は、ケーブルに電流を流した時にその周りに発生する磁界によって、金属製の被覆に電磁誘導が起こって発生する損失です。シース損には、電磁誘導によって生じる起電力で発生する渦電流損とシース回路損があります。
ただし、CVTケーブルを使用すると各ケーブルの周りの磁界が互いにうち蹴り合うので、起電力が発生しないのでシース損が発生しません。
さらにクロスボンド接地方式を取り入れるとシース電流を打ち消し合うことができるので、シース損を低減させることができます。
最後になりますが、地中電線路の抵抗損はケーブルによる抵抗の損失なので、抵抗損Peは抵抗Rと電流Iを使用して下記の式で表します。
Pe=RI2
送電線路の項目では、この電力損失はとても重要な部分になります。
架空電線路と地中電線路それぞれに発生する損失の種類、そして計算の方法や特徴はしっかり覚えておくようにしましょう。

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