
架空している電線路は、敷設された環境や状況により様々な障害があります。
本項では送電線路の障害と対策について取り上げましょう。
主な障害は以下の通りです。
それぞれの障害への保護対策について説明します。
まず、雷害です。
送電線の事故で最も多いのが雷が原因で、電線や鉄塔に雷が直撃する直撃雷と電線と雷雲の間に静電誘導によって雷雲の放電が線路に流れる誘導雷があります。
保護対策をいくつか下記に取り上げます。
1.架空地線の設置
直撃雷や誘導雷を防止するため、鉄塔の最上部から敷設する接地線です。
2.アークホーン
フラッシオーバによって生じるアークを利用して電線やガイシの破損を防止する対策です。
3.避雷針
電線路に異常電圧がかかったときに電流を逃す装置です。
4.埋設地線
鉄塔に埋設地線を設置させて接地抵抗値を下げ、雷撃を地面に逃す対策です。
先に述べたように雷害は送電路で起きる主な障害となるので対策についてはよく覚えておきましょう。
次は塩害です。
対策として以下のものがあります。
1.ガイシの増結
絶縁体であるガイシを連結して増やし絶縁を上げる方法で、対策としてはよく用いられています。施工時に耐塩ガイシやスモッグガイシを使用する方法もあります。
2.ガイシの定期的な洗浄
ガイシを洗浄して塩分を落とす方法です。
3.ガイシへのシリコン処理
ガイシの表面に撥水性のシリコンコンパウンドを塗布し保護します。
4.ルートの選定
設計の時点で塩害の少ない場所をルートとして選んでおくことも重要な対策の一つです。
続いて雪害です。
雪害には、氷雪が電線から落下した時の反動で跳ね上がり振動が起きるスリートジャンプや氷雪が付着した電線が風に煽られて振動が起きるギャロッピングがあります。
対策としては主なものは以下の3つです。
- 電線のたるみを小さくする
- 支持物(鉄塔等)の間隔を短くする
- 相関スペーサやダンパの取り付け
次は振動です。
緩やかな風によって電線が振動する障害で、対策としては防震装置をつける方法があります。
防震装置としては、振動の吸収材として働くダンパや電線を補強する役割を果たすアーマロッドがあります。
最後は誘導障害で対策には以下のものが挙げられます。
- 送電線をねん架する(送電線の配置箇所を区間ごとに入れ替えること)
- 遮へい線を設置する
- 電力線と通信線の間隔を広くする
- 地絡電流の小さい設置方式を採用する
送電線の設計や管理をする場合、障害対策は不可欠です。
よく見る設備でもあるのでイメージも湧きやすいでしょう。
試験では本項の内容も出題されるの可能性があるのでよく覚えておくようにして下さい。

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