
金属管工事とは、絶縁電線を金属管の中に収めて外からの衝撃を防止するための配線工事方法です。(電気設備技術基準解釈第159条)
ここでは、電線管の種類と規格、支持方法や接地などの詳しい施工の規定についてみていきます。
金属管の接地工事
解説の後に練習問題と解き方を掲載していますので、しっかり勉強していきましょう。
金属管工事はすべての場所で施設できる
金属管工事は、すべての場所において施設することができます。
粉じんの多い場所や、可燃性ガスが存在する場所では、粉じんおよび防爆の対策をすることで施設することができます。
金属管は薄鋼、厚鋼、ねじなしの3種類
金属管には薄鋼電線管、厚鋼電線管、ねじなし電線管の3種類があります。それぞれの特徴や規格についてみていきましょう。
薄鋼電線管(C管)
管の肉厚が1.6mm以上の電線管で、管端には接続するためのねじが切られています。屋内の金属管工事によく用いられます。
厚鋼電線管(G管)
管の肉厚が2.3mm以上の電線管で、管端にねじが切られています。機械的強度が高いため、工場や屋外の敷設に適しています。
ねじなし電線管(E管)
管の肉厚が1.2mm以上の電線管で、管端はねじが切られていません。
金属管工事に使用できる電線
金属管工事に使用できる電線は絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線(OW線)を除く)で、より線を使用します。また、直径3.2〔mm〕以下の絶縁電線であれば単線を使用することもできます。
金属管工事の施工方法
金属管工事で行われる電線の接続方法や支持方法、屈曲、接地のきまりをみていきましょう。
電線の接続
電線の接続は、必ずジョイントボックスなどのボックスの中で行います。金属管の途中で接続してはいけません。
金属管の支持方法
金属管を造営材に固定し支持するときはサドルなどを用い、支持点間の距離は2〔m〕以下になるよう取り付けます。
金属管の屈曲
金属管の曲げはパイプベンダを使用します。その際、金属管の断面が著しく変形しないように曲げ、その内側の半径は管内径の6倍以上にします。
金属管工事の接地条件
金属管工事は、使用電圧に応じて接地を行います。
・使用電圧が300V以下で長さ4m以下の金属管を乾燥した場所に施設する場合は接地工事を省略することができます。
・使用電圧が300Vを超える場合で接触防護措置を施すときはD種接地工事とすることができます。
試験に出題される問題を解いてみよう
【例題】使用電圧200〔V〕の三相電動機回路の施工方法で、不適切なものは次のうちどれか。記号で選び答えなさい。
イ、 金属管工事に屋外用ビニル絶縁電線を使用した。
ロ、 造営材に沿って取り付けた600Vビニル絶縁ビニルシースケーブルの支持点間の距離を2〔m〕以下とした。
ハ、 乾燥した場所の金属管工事で、管の長さが3〔m〕なので金属管のD種接地工事を省略した。
ニ、 2種金属製可とう電線管を用いた工事に600Vビニル絶縁電線を使用した。
【解説】
イ、 金属管に収める電線は絶縁電線を用いることが定められていますが、屋外用ビニル絶縁電線を除きます。したがって不適切となります。
ロ、 この選択肢はケーブル工事の範囲に含まれるものです。ケーブルの支持点間の距離は2〔m〕以下にすることとなっています。なのでこの施工は適切といえます。
ハ、 低圧屋内配線で使用電圧が300〔V〕以下の場合はD種接地工事を施すことになっていますが、管の長さが4〔m〕以下で乾燥した場所に施設する場合は接地を省略することができます。この施工は適切です。
ニ、 この選択肢は金属可とう電線管工事の範囲に含まれるものです。2種可とう電線管は、金属管と同様に施設場所、使用電圧の制限がありません。また、600〔V〕ビニル絶縁電線を使用するのは適切です。
まとめ:金属管は絶縁電線を保護し、屋内のすべての場所で敷設可能
今回は金属管工事について解説しました。電気工事で用いる電線管は薄鋼、厚鋼、ねじなしの3種類があり、屋内や屋外など使用場所で使い分けます。また、展開した場所・隠ぺい場所等問わず、すべての場所で敷設可能なのですね。
施工の際の留意点
- 金属管の支持点間の距離は2〔m〕以下にする
- 金属管の屈曲の際は、曲げる内側の半径が管の内径の6倍以上にする
この2点もよく覚えておきましょう。
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