配電線路の電圧降下について

本項では、電検三種試験で出題されることの多い分岐回路(樹枝状線路)ループ回路(環状配電線路)電圧降下の計算方法について取り上げます。

電圧降下の計算は、オームの法則やキルヒホッフの法則など基本的な法則を使って解くことができます。
出題される時に与えられる条件を理解すれば比較的簡単に解くことができるでしょう。
ポイントにあるのは配線方式、力率、抵抗やリアクタンスの単位などの条件です。

まず、分岐回路(樹枝状線路)の電圧降下について例題を通して説明します。
以下の図にある三相3線式の配電線でA点、B点の電圧を求めてみましょう。

この場合、力率が100%では無いので、まず有効電流と無効電流を求める必要があります。
有効電流:Icosθs=IAcosθA+IBcosθB
これに条件の数値を当てはめると
80×0.6+150×0.8=168(A)

無効電流:Isinθs=IAsinθA+IBsinθB
これに条件の数値を当てはめると
80×0.8+150×0.6=154(A)

SA間の有効電流と無効電流がわかったのでSA間の電圧降下が求められます。

同じようにAB間の電圧降下も求めます。

給電点Sの電圧からそれぞれの電圧降下を引くとA点、B点の電圧が求められます。

この例題では、三相では1線分の電圧を求めるには√3をかけることや力率が100%でない時に有効電流と無効電流の計算をすることがポイントになるでしょう。

次にループ回路の電圧降下について説明します。
以下の図にある単相2線式の回路でA点、B点、C点の電圧を求めてみましょう。

まず各線路に流れる電流を求めます。
F-A間の電流をIとした時、A-B間、B-C間、C-F間の電流は以下になります。
IAB=Iー50
IBC=Iー60
ICF=Iー100

キルヒホッフの法則により、各線路の電圧降下の合計は0になるので、Iは以下のように求められます。
0.05×I+0.1×(Iー50)+0.05×(Iー60)+0.1×(Iー100)=0
∴I=60(A)

A-B間、B-C間、C-F間の電流にI=60(A)を代入するとIAB=10(A)、IBC=0(A)、ICF=ー40(A)です。
つまり、B点とC点間には電流は流れず、F点からC点に40(A)流れていることになります。

求めた電流をもとに各線路の電圧降下を求めます。
それぞれの線間の電圧降下は以下のようになります。
VFA=0.05×2×60=6(V)
VAB=0.1×2×10=2(V)
VFC=0.1×2×40=8(V)

ここでの注意点は、単相2線式なので抵抗を2線分の2倍して計算するのを忘れないことです。

最後にA点、B点、C点の電圧は供給点の電圧から求めた電圧降下を引いて求めます。
VA=102ー6=96(V)
VB=102ー6ー2=94(V)
VC=102ー8=94(V)

初めに述べたように配電線路の電圧降下を求める場合は、計算や法則は基本的なものになりますが、条件を理解しないと正しい答えを求められません。
問題をしっかり読み解けるよう練習問題を繰り返し解くようにしましょう。



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