
電力を需要家まで届ける送配電設備について、送電路については別項で取り上げました。
本項では、配電変電所から需要家までの配電系統について説明します。
配電線路は、配電変電所から配電変圧器までの高圧配電線路と配電変圧器から需要家までの低圧配電線路の2つに分類されます。
まずは配電方式について説明しましょう。
代表的なものは下記の5つです。
1.樹枝状方式
幹線から枝分かれしていく方式で、線路の延長が容易に行えるので高圧・低圧の両方で採用されます。
デメリットは、元に近いところで遮断しなければならない場合、広範囲で停電が発生してしまうことです。
2.環状方式
主に高圧で採用されており、図のように線路が環状(ループ)になっています。電源を2方向から取れるため信頼度が高い方式です。
デメリットとしては建設コストが高いことでしょう。
3.低圧バンキング方式
この方式は高圧配電線と低圧配電線を複数の変圧器で接続するので、電圧降下や損失が少ないというメリットがあります。
高圧ヒューズが溶断したり低圧配電線に短絡電流が流れると他の変圧器にも短絡電流が流れ広範囲での停電が起こるカスケーディングがデメリットと言えます。
しかし、カスケーディングを防ぐために、各区間に区分ヒューズを設置する方法で対策ができます。
4.レギュラーネットワーク方式
格子状に繋いだ低圧配電線から複数のフィーダー(系統)を引き出し、電力を供給する方式です。
格子状になっているのでフィーダー(系統)が一つ使えなくなっても他のフィーダー(系統)から供給ができるメリットがあります。
この方式は建設コストが高いため、あまり採用されません。
5.スポットネットワーク方式
複数の高圧配電線から引き込み、各引き込みに断路器、ネットワーク変圧器、ネットワークプロテクタを設置する方式です。
複数の高圧配電線から供給ができるので、信頼性が高い方式でビルや工場といった負荷が集中する場所への電力供給に多く用いられます。主任技術者は覚えておくべき方式です。
これらの方式で配電がされますが、配電線路の電気方式についても取り上げておきましょう。
単相2線式、単相3線式、三相3線式、三相4線式の四種類の配電方式がありますが、主に使われるのは三相3線式と単相3線式を覚えておけば大丈夫です。
最後に配電線路に使用されている設備にも触れておきます。
配電線路では、電線、ガイシ、開閉器、変圧器、避雷針などの設備がありますが、電線や変圧器、避雷針については別項で扱っているので、ガイシと開閉器について説明します。
ガイシは、電線と支持物の間を絶縁するために設置する装置で、磁器製のものが多く使用されています。
開閉器は、事故や保守等の作業を行うために区間を切り離すために設置する装置です。
事故の時に切り離しに使用するのは高圧カットアウトといい、短絡や変圧器の過負荷など異常があった時にヒューズで電線路を切り離して事故の波及を防ぐ特徴があります。
柱上開閉器は、電線路で作業をする際に作業区間を切り分ける役割があり、気中形と真空形がよく使用されています。
配電線路の方式や設備については、主任技術者として実務にあたるには不可欠な知識ですし、試験でも重要なポイントになります。
普段の生活でも目にすることができるので、実物を確認しながら勉強すると覚えやすいでしょう。
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