
いくつかの項で誘導機に関して説明しました。
本項では誘導電動機の制御について説明します。
誘導電動機の制御で覚えておきたいのは、始動方法と速度制御です。
それぞれの説明の前に誘導電動機の種類について説明します。
三相誘導電動機は回転子の構造によってカゴ形と巻線形の2種類にわけられます。
カゴ形は、回転子鉄心のスロットに巻線を使わず、銅棒を銅製のリングで挟んだカゴのような形の回転子です。
巻線形は、固定子と同じように3組の巻線を回転子の鉄心に収めて三相結線にしたものです。巻線形は回転子にスリップリングとブラシを介して可変抵抗器を接続していることが
多いです。
誘導電動機の始動について説明します。
始動時には大きな電流が流れますが、力率が低いので電源系統の電圧変動が起きる可能性があります。それを抑えるために、できる限り始動電流を小さくし、始動トルクが大きくなるような工夫が求められます。
工夫された適切な方法は種類によって違うので、一つずつ説明します。
三相巻線形誘導電動機
三相巻線型電動機は、二次回路に可変抵抗器を設置して調整することができるので、それを利用して始動します。
始動時に二次抵抗を大きくすることで、始動電流を小さく、始動トルクを大きくします。その後、回転速度が上がったらスリップリングを短絡します。
三相カゴ形誘導電動機
カゴ形の場合は二次回路の調整ができないので、定格出力の大きさの違いで適切な方法は違います。
・定格出力が5kW以下
全電圧始動といって、電源電圧を直接印加する方法です。
・定格出力5〜15kW
Y-Δ始動という方法を使います。
この方法は、まず三相電源を固定子巻線にY結線して始動し、回転子の回転速度が定格に近づいたら固定子巻線をΔ結線に切り替えるという方法です。
これによってΔ結線で始動するより始動時のトルクと電流が1/3倍になります。トルクは小さくなりますが始動電流が下がるのがメリットです。
・定格出力15kW以上
このような大容量の場合は、始動補償器法を使います。
始動補償器とは電源と電動機の間に入れる三相単巻変圧器のことです。
この変圧器を入れることで始動時の端子電圧を下げ、定電圧を電動機に供給します。そして、回転速度が定格に近づいたら全電圧を電動機に供給する方法です。
続いて速度制御に関して説明します。
誘導機の回転速度は以下の式で求めます。
この式から回転速度は、電源の周波数と磁極数、滑りを変化させることによって制御できます。下記の表に制御方法をまとめます。
以上が誘導電動機の制御に関する説明です。
誘導電動機の種類とそれぞれの始動方法や制御方法は穴埋めの文章問題で出題されることがあるので、特徴と公式は覚えておくようにしましょう。

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