
機械や設備や工場の製造ラインのほとんどは、運転や調整を制御装置によって行い、これを自動制御と言います。
本項では自動制御の種類とそれぞれの特徴を説明していきましょう。
自動制御はシーケンス制御とフィードバック制御の2つ分けることができまます。
シーケンス制御は、あらかじめ定められた手順を順番に実行していく制御方式です。
身近なものでわかりやすいところだと、食器洗浄機やDVDレコーダー等の家電品で指示を出す(ボタンを押すなど)と一連の決まった動作をしてくれるものに使われています。
この制御方式には、電磁リレーを使ったリレーシーケンス制御というものがあり、2個の電磁リレーを接続して2つのリレーが同時には動かないようにするインタロックを持つものがあります。
インタロックはシーケンス制御の特徴の一つで、同時に動作しては良くないリレー同士をつなぐことで安全装置としての働きをもたせることができます。
フィードバック制御は、制御対象が目標値に達するよう制御量を検出して調整していく制御方式で、高機能でないホットカーペットや電気コタツなどの温度調整に使用されています。
制御の仕組みを簡単に以下の図のように表すことができます。
図を見ても分かる通り、制御対象から信号を検出してからまた調整部に戻すため、制御する時間が多少かかってしまうのがデメリットですが、汎用性が高いと言うメリットは大きいでしょう。
もう少しフィードバック制御について詳細を説明します。
フィードバック制御は、以下の3つの動作を組み合わせて制御しており、それぞれの動作の頭文字をとってPID制御と呼ばれます。
その3つとはP動作(比例動作)、I動作(積分動作)、D動作(微分動作)です。
P動作は、目標値と現在値の偏差に比例した操作量を出力するという制御を行います。
この偏差を定常偏差(オフセット)と呼びますが、P動作では偏差が小さくなると操作量も少なくなるため、目標値に近づきはしても完全に達することがありません。
このオフセットをなくす動作をするのがI動作です。
I動作は、オフセットの積分値に応じて操作量を出力するのでオフセットをなくすことができますが、目標値に達するまでの時間がかかるというデメリットがあります。
このデメリットを軽減させるのがD動作です。
D動作はオフセットの微分値によって操作量を変えるので、目標値と現在値が大きく違うときには操作量を大きく変えるので短時間で目標値に近づけることができます。
そして、I動作によってオフセットを解消して目標値に達するように調整します。
主任技術者として電気機器や設備が適切に調整や運転がされているか管理するのは基本中の基本になります。
ですから自動制御の基礎をしっかり覚えておくことは試験対策にも、実務にも重要と言えるでしょう。
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