
変圧器や誘導電動機など磁力を使用する機器には、鉄心を使うものが多くあります。
この鉄心に使用されるのが磁性材料で、機器の効率や性能に大きく関わる重要な材料です。
磁性材料は、磁束を通す用途の磁心材料と永久磁石を作るための磁石材料に分けられます。
電気機器で使用される磁性材料の多くは磁心材料になるので、ここでは特に磁心材料を取り上げましょう。
磁心材料は以下の点を満たしていることが望ましいです。
- 透磁率(磁束の通しやすさ)や抵抗率が高い
- 鉄損(過電流損やヒステリシス損)が少ない
- 加工しやすい
- 低コスト
これらを満たす材質として、けい素綱とアモルファス合金がよく使用されています。
けい素鋼は透磁率と抵抗率が高いのが特徴で、アモルファス合金はケイ素鋼の数倍の抵抗率が特徴ですが、加工しづらく高価な材料です。
磁心材料が満たしているとよい条件の一つに損失(過電流損やヒステリシス損)が少ないことをあげました。この損失は磁心材料において重要なポイントとなるので取り上げておきます。
過電流損とは、磁束の方向が交互に入れ替わる交番磁界で、磁束の変化による電磁誘導で鉄心内に発生する起電力による損失をいいます。簡単に言うと電磁誘導による過電流が流れて起きる損失です。
ヒステリシス損を理解するためには、ヒステリシスループ(ヒステリシス曲線)について知る必要があります。
ヒステリシスループは、下図のB-H曲線と呼ばれる磁性体の磁気特性を表すグラフに現れるループ(曲線)です。
図のループの起点は、磁性体が磁化されていない0の場所です。ここに磁界を与えると磁束密度も上昇します。①の状態です。
この状態で磁界を0にすると、磁束密度は0にならず磁界を②のようにマイナスすることで0になります。この過程で、磁界が0の状態で磁束密度を残留磁気、磁束密度が0の状態で磁界の強さを保磁力といいます。
そして磁界の増減を繰り返すことで、上記の図のようなループができ、これをヒステリシスループと言います。
このループが1周した時の面積が磁性体にとして消費される仕事に相当し、これがヒステリシス損です。
ヒステリシス損はヒステリシスループの面積に比例します。
電験三種の試験の設問で、磁性材料の部分ではこのヒステリシス損についても出題されることがあるので覚えておくようにしましょう。

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