
短絡と地絡は、どちらも電気のことを勉強していると頻繁に出てくる言葉です。
ここでは、似ているようで違うこの2つの言葉の違いを説明します。
どちらも電気関係の仕事をする上で覚えておかなければいけない重要な用語ですので、しっかりとその違いを理解しておきましょう。
短絡とは
短絡とは、電気回路の線間の2点が小さな抵抗によって電気的に接続されてしまう現象です。
短絡は英語でshort circuitと呼ばれることから「ショート回路」ともいわれ、省略して単に「ショート」とも呼ばれることもあります。
「電気がショートする」のような言い回しは一般でもよく使われていますね。
点検などの際に故意に回路を短絡させることもありますが、一般に短絡というと、本来はつながってはいけない箇所が配線のミスや機器の劣化・故障などによって接続されて起こる事故現象のことを指します。
短絡が起きると、回路を流れる電流は本来の抵抗へと流れず、抵抗がほとんどない短絡線のほうへと流れてしまいます。
例えば、電圧10Vの回路に10Ωの抵抗が接続されていたとすると、
回路を流れる電流は、オームの法則によって
A=V/R より A=10/10=1アンペアとなります。
しかし、この回路で短絡が起こり、短絡線の抵抗が0.1Ωだとすると、
回路を流れる短絡電流Iは、I=10/0.1=100アンペアと、元の回路の100倍にもなってしまいます。
このため、短絡電流は非常に大きくなり、場合によっては数千~数万アンペアの電流が流れることもあります。
短絡の際には大きなアークが発生することもあり、近くに人がいれば電気火傷を負うこともあります。
電気回路に使われている電線の太さは、その回路を流れる電流の大きさによって決められているため、短絡が起こると、電線の溶断による回路の破壊や発火といった重大な事故につながるおそれがあります。
そのため、分電盤などに配線用遮断器(MCCB)を設置し、短絡によって過電流が起きた際にはすぐに回路を遮断して、短絡事故を防ぐことが大切です。
地絡とは-漏電との違い-
地絡とは、電線や機器の絶縁の悪化によって、回路を流れる電流が漏れて大地に流れてしまうことをいい、大地との間で起こる短絡現象のことです。
地絡とよく似た現象に漏電があり、こちらは絶縁不良がない状態で、電流が大地に流れることをいいます。
漏電は、ごく微量ですが新しい電線や機器でも発生するため、ほぼすべての電気回路で起こる現象といえます。
地絡と漏電は厳密にいえば違うものですが、一般的にはどちらもほとんど同じ意味で使われています。
地絡や漏電が起こっている電気機器や金属製のケースなどに人が触れると、漏れ電流が体にも流れ、感電事故につながります。
そのため、地絡・漏電による事故を防ぐため、アース線や漏電遮断機(ELB)が取り付けられます。
漏電遮断機は、内蔵している零相変流器(ZCT)を通る行きと戻りの電流量の差から地絡を検出し、回路を遮断する機能をもっています。
まとめると、短絡は回路の2点が接続されてしまうことで、地絡は短絡のうち大地との間で起きるもので回路の電流が大地に漏れることをいいます。
どちらも、感電や火災など重大な事故につながる可能性のある危険現象ですので、しっかりと過電流遮断機や漏電遮断機を設置し、事故を未然に防ぐようにしましょう。

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