特性曲線と同期インピーダンス

本項では同期機で重要な項目となる特性曲線と同期インピーダンスについて説明します。

特性曲線
この部分では、試験でグラフを使って必要な値を求めるため各特性曲線について説明します。
どちらにも共通するのは界磁電流です。
同期発電機の界磁が作る磁束の強さは、界磁巻線に流す直流電流によって決まります。この電流を界磁電流と言います。

同期発電機で覚えておくべき特性曲線は3つです。
無負荷飽和曲線
同期発電機を無負荷で運転した時の界磁電流と端子電圧の関係を表す曲線です。

短絡曲線
同期発電機の出力端子を短絡したときの界磁電流と電機子短絡電流の関係を表す曲線です。

この二つの特性曲線は以下のグラフで表します。青が無負荷飽和曲線、オレンジが短絡曲線です。

上のグラフをもとに、無負荷飽和曲線で定格電圧を生じる界磁電流と短絡曲線から定格電流が流れる界磁電流の比を求めたもの短絡比です。

短絡比は三相同期発電機の特性を表す指標となります。

同期発電機に関連したものとして同期インピーダンスも大切なので説明します。
電源電圧と端子電圧の差には同期インピーダンスが大きく関わります。
同期インピーダンスは、電機子反作用リアクタンスと漏れリアクタンスを合わせて電機子の巻線抵抗を合わせたものです。
この項の既出の特性曲線をもとに次のように求められることができます。

そして定格電流が流れたときの同期インピーダンスによる電圧降下と定格相電圧の比を百分率で表したものを、百分率同期インピーダンスといい次の式で表します。

百分率インピーダンスは短絡比の逆数になります。

もう一つ、外部特性曲線についても説明します。
同期発電機を定格速度で運転し、界磁電流と負荷力率を一定にして負荷電流を変化させたときの端子電圧と負荷電流の関係を表した特性曲線です。
外部特性曲線は、負荷力率を一定に保つとき、力率の進み、力率1、遅れ、それぞれに描く曲線が変わります。

次に同期電動機で覚えておくべき特性曲線を説明します。
位相特性曲線(V曲線)
位相特性曲線は、電圧が一定の電源に接続し一定出力の同期電動機に対する界磁電流と電機子電流の関係を表しています。
グラフがV字のような曲線となることからV曲線とも呼ばれます。

同期電動機では界磁電流の増減で入力電圧の力率を変えることができます。
グラフで電機子電流が最小のときに力率が1となり、力率が1の時より界磁電流が小さければ力率は遅れ、大きければ力率は進みとなります。

この同期機の特徴を生かし、送電線路に同期電動機を接続して界磁電流を調整すると、送電線路の力率の調整ができます。
このように使用する同期機を同期調相機といいます。

同期機では本項で取り上げた特性曲線が重要です。
それぞれの特性曲線が何を表しているか、どんな要素が関係しているかをしっかり覚えるようにしてください。



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