支線の施設や張力について

架空電線路を施設する上で、安全上欠かせないのが支線の施設です。
この点も法令により定めれており、実務でも重要なポイントとなります。
本項では、支線の施設について、特に張力の求め方を取り上げます。

「電気設備に関する技術基準を定める省令」第二十五条第二項及び第三十二条第一項で、支線の施設にに関して下記のように定められています。

第二十五条(架空電線等の高さ)
第二項
支線は、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない。

第三十二条
架空電線路又は架空電車線路の支持物の材料及び構造(支線を施設する場合は、当該支線に係るものを含む。)は、その支持物が支持する電線等による引張荷重、風速四十メートル毎秒の風圧荷重及び当該設置場所において通常想定される気象の変化、振動、衝撃その他の外部環境の影響を考慮し、倒壊のおそれがないよう、安全なものでなければならない。ただし、人家が多く連なっている場所に施設する架空電線路にあっては、その施設場所を考慮して施設する場合は、風速四十メートル毎秒の風圧荷重の二分の一の風圧荷重を考慮して施設することができる。                         自家用電気工作物の引込電柱によく支線が設置されますが、「支線が緩む」=「倒壊の恐れがないよう、安全なものでなければならない」の部分に抵触するため、電気設備技術基準に違反することになるのです。

支線は、架空電線を支持するものなので、架空電線と同じような安全面の規定がなされています。

「電気設備の技術基準の解釈」の第六十一条及び第六十二条で詳細が規定されていました。
第六十一条では架空電線路間の支線について、第六十二条では、架空電線の支持物(木柱や鉄柱・コンクリート柱)に対する支線について規定されています。

特に支持物への支線の施設については、支線の張力と強度の計算が必要になり、試験にも出題されることがあるので、少し取り上げましょう。
下記の図のように電柱を支線で指示する場合、支線にかかる張力を求める必要があります。

この図をもとに、支線の張力を求める式は以下になります。

PcosΘ・H2=T・H1[N・m]

さらに支線を施設する上で、規定に基づき必要条数も計算する必要があり、式は下記となります。

安全率は、「電気設備の技術基準の解釈」第六十一条第一項第二号で下記のように規定されています。
・支線の安全率は、2.5となります架空電線路の支持物として使用する木柱、A種鉄筋コンクリート柱又はA種鉄柱施設する支線にあっては、1.5以上です。

支線の施設については、現場でも設問でも、計算がしっかりできることが重要です。
条文も覚える必要がありますが、この範囲では特に計算を間違えないよう繰り返し練習しましょう。

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