
電気主任技術者が管理する電気機械機器に変圧器があります。
変圧器の損失や効率を理解することは、法規の範囲にある施設管理でも重要です。
変圧器内部で発生する損失は、無負荷損と負荷損そして補機損があります。
しかし、無負荷損に含まれる鉄損と負荷損に含まれる銅損以外は小さいので、変圧器の損失は鉄損と銅損で表すことがほとんどです。
ここでは、変圧器の損失の一種である鉄損について取り上げます。
鉄損は、一次側に電圧がかかっていれば負荷の大きさに関わりなく発生する損失です。
負荷がかからなくても生じる損失なので無負荷損に含まれます。
鉄損は、ヒステリシス損とうず電流損に分かれており、その二つの和によって求めることができます。
ヒステリシス損は、鉄心の磁束が増加し磁気エネルギーが減少した時に完全に放出されず、熱となって発生する損失で、下記の式によって求めることができます。
Ph:ヒステリシス損(W/kg)
kh・k’h:比例定数
f:周波数(Hz)
Bm:最大磁束密度(T)
V:電源電圧(V)
うず電流損は、鉄心中の磁束によって誘導電流が流れて起電力が生じるうず電流が熱となって発生する損失で、下記の式によって求めることができます。
Pe:うず電流損(W/kg)
ke:比例定数
f:周波数(Hz)
Bm:最大磁束密度(T)
V:電源電圧(V)
ヒステリシス損Phとうず電流損Peの和によって、鉄損Piを求めます。
Pi=Ph+Pe
上記の式から鉄損はヒステリシス損とうず電流損の特性を持つと言えます。
それで、鉄損は周波数が一定であれば、1次側の電圧の2乗に比例した値になります。
加えて、一般的にヒステリシス損はうず電流損より大きいので、鉄損はヒステリシス損の特性が影響してきます。
それでヒステリシス損の式から分かる通り、1次側の電圧が一定ならば、鉄損は周波数に反比例するのです。
本項では、機械の分野でも学んだ変圧器の鉄損について説明しました。
法規でこの点を学ぶのは、変圧器を正しく管理するという目的のためです。
ですから、法規の試験では式が与えられる場合も多く、そうでなければ損失の数値が設問に記されています。
あまり難しく考えずに練習問題から傾向を捉えておくと良いでしょう。
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