
負荷に対して変圧器の容量が足りない場合、変圧器複数台を並列に接続して運転することがあります。
さらに三相交流に変圧する場合には、結線方式によって特徴があります。
本項では変圧器の運転に関連した幾つかの点を取り上げて説明します。
まず、変圧器の並列運転の説明です。
複数台を並列に接続して運転させる場合、幾つかの条件に従って接続しなければなりません。主な条件は以下の5つです。
- 各変圧器の極性が一致している
- 各変圧器の変圧比が等しい
- 各変圧器のインピーダンス電圧(%インピーダンス降下)が等しい(%インピーダンス降下)
- 巻線抵抗と漏れリアクタンスの比が等しい
- 三相結線では各変圧器の相回転と角変位が等しい
それぞれ少し説明を加えます。
各変圧器の極性の一致
この条件が満たされないと、大きな循環電流が流れ巻線が焼損する可能性が出てきます。
変圧比が等しい
この条件が満たされないと、負荷があってもなくても循環電流が流れてしまいます。
インピーダンス電圧(%インピーダンス降下)が等しい
並列運転では定格容量に比例した負荷電流が分担できると効率が良い運転ができます。
そのためにはインピーダンス電圧(%インピーダンス降下)が等しくなければなりません。
巻線抵抗と漏れリアクタンスの比が等しい
この二つの比が等しくないと各変圧器で分担している電流に位相差が生じて効率が悪くなります。
三相結線では各変圧器の相回転と角変位が等しい
この条件が整わないと大きな循環電流が流れ巻線が焼損する可能性があります。そのため三相結線の組み合わせでは並列運転ができません。
続いて三相変圧器の結線に関して説明します。
三相結線にはΔ(デルタ)結線、Y(スター)結線、V(ブイ)結線があります。
Δ結線は、第3調波電流を外部に流さないメリットがありますが、中性点接地を取れません。Y結線はその逆です。結線方式はそれぞれの特徴と用途を考慮されます。
V-V結線は単相変圧器を2台使用して三相を変圧する場合に使用する結線方式です。覚えておきたいのは、この結線方式の時の変圧器2台分の出力ができず、利用率が0.866のように低くなるという点です。
変圧器には他に単巻変圧器があります。
これは巻線の一部を一次側の回路と2次側の回路で共有している変圧器です。
共有している部分を分路巻線、共有していない部分を直列巻線といいます。
この変圧器の場合は、巻線内の電圧降下が小さいので、巻線比と変圧比の関係に下記のように端子電圧の比も加えて考えることができます。
以上が変圧器の運転に関連した点の説明となります。
変圧器は送配電など電気設備で非常に重要な機械です。
幾つかの項で取り上げた変圧器に関する特徴や計算式はしっかり覚えるようにしましょう。
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