
送電経路の多くは架空ですが、近年地中送電方式も増加しています。
本項では、地中送電の特徴や方式について取り上げましょう。
地中送電の特徴的なメリットには以下のようなものがあります。
景観が保たれる
電柱や電線、変圧器などが地中埋設されるため景観が保たれます。
天候の影響を受けない
強風や雷、大雨による停電や断線の危険がほぼありません。
安全性
断線した箇所に人が容易に触れることがないため、感電する危険がほとんどなく、電線に障害物が引っかかることによる停電などの障害もありません。
しかし、デメリットもあります。
コストが高い
架空送電と比較すると、工事や材料費、メンテナンスにかかるコストは高くなります。
故障箇所の発見に時間がかかる
送電線を目視できないため、断線や故障が発生した場合に位置を特定するのに時間がかかります。停電が伴う故障の場合、このデメリットは大きいでしょう。
作業性が悪い
通常のメンテナンスも、地上で行うより作業性は悪いですが、特に故障の修復には場合によっては掘削作業なども伴い多くの作業や時間がかかるのもデメリットです。
建設コストが賄えて、障害や故障が起きないなら地中送電はメリットが大きいといえるでしょう。
次に地中送電の方式を取り上げます。
大きく分けると以下の3つの方式です。
- 管路式
- 暗きょ式
- 直接埋設方式
初めに管路式を説明します。
下図のような鉄筋コンクリート管や強化プラスチック管、鉄管という管路に開いた穴に、ケーブルを通したものを地中に埋設するのが管路式です。
管路通した数種類のケーブルを一度に敷設したり掘り起こしたりできるのがメリットです。
ただし、ケーブル周りにスペースがないため放熱効率が悪く流せる電流の大きさが制限されるというデメリットがあります。
次に暗きょ式について説明します。
下図のように、電力ケーブルと上下水管やガス管などを一つの空間に収める方式が暗きょ式です。
暗きょは広く人が作業できるスペースが確保できるので、メンテナンス性が良いことと放熱効率が良いのがメリットです。
ただし、施工コストが高いことや施工に時間がかかることはデメリットでしょう。
最後に直接埋設式です。
最もシンプルな方法で、図のようなケーブルと保護カバーを埋設するだけの方式です。
低コストで施工時間の節約ができますが、既出の2つの方法のようなメンテナンス性はよくありません。
地中送電は今後、さらに増えてくると考えられます。
それに伴い試験でも出題される可能性は高くなると思われるので、概要はしっかり抑えておきましょう。
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