原子力発電の概要

近年、日本の発電の電源割合(エネルギーミックス)で8割を超えているのが火力発電です。しかし一時期は原子力発電は火力発電に次ぐ電源となっていました。
本項では、水力・汽力・再生可能エネルギーと共に電源の一つとして、本項では原子力発電を取り上げます。

その名の通り、原子力発電は原子核に中性子が衝突し、発生する核分裂の際に起きる結合エネルギーを利用したものです。
核分裂の際に放出された中性子は、他の原子核と衝突してまた核分裂を起こすことを連鎖反応といいます。

アインシュタインの相対性理論で、核分裂の際の放出されるエネルギーを求めることができます。

これは原子力を理解するための基本的な式なので覚えておいてください。

※光の速さc=3×10の9乗となります。これは、定数なので、しっかりと暗記すること。

原子力発電は、核分裂の連鎖反応によって生じる熱エネルギーで蒸気を作り、その蒸気を使ってタービンを回転させ発電します。言い換えると、火力発電は、石炭や石油を燃やして蒸気を作りますが、原子力発電は、核分裂の連鎖反応で蒸気を作る。ということは、原理は同じで、燃料だけが違うということになります。
大まかですが原子力発電所は次のような構成で成り立っています。

原子炉について、もう少し詳しく説明します。
原子炉は図のような仕組みです。

それぞれの構成を説明しましょう。
核燃料
核燃料として使用されるのは、主に濃縮ウランプルトニウム239の2種類です。
後で説明しますが、軽水炉では天然ウランに含まれるウラン235を濃縮して3%ほどにした濃縮ウランが使用されています。
プルトニウム239は、原子炉内でウラン238に中性子を吸収させてできる物質です。

減速材
核分裂によって生じた中性子は高速すぎて次の核分裂を起こしづらいため、減速材で中性子の速度を落として連鎖反応を起こしやすくします。
減速材は、中性子を吸収しづらく熱や放射線に安定している必要があり、材料は軽水・重水、黒鉛、ベリリウムなどです。

反射材
中性子を原子炉内に閉じ込めるため、炉心を囲んでいるもので、材料は減速材と同じです。

冷却材
原子力発電では、核分裂によって発生した熱を電気に変換し発電します。
核分裂によって発生した熱を受け取るのが冷却材です。熱伝導率がよく中性子を吸収しにくい材料がよく、軽水重水ナトリウムヘリウム炭酸ガスが使用されます。

制御材
核分裂の連鎖反応を調整するためのものです。核分裂を抑えるために中性子の吸収が大きい材料がよく、ボロン、カドミウム、ハフニウムが用いられます。

遮蔽材
放射線が外部に漏れないように原子炉を囲む材料で、鉄やコンクリートが使用されます。

原子力発電の概要について説明しました。
仕組みや構造、材料などは覚えておくようにしましょう。



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