
ここでは、電気事業法第四十二条で規定されている保安規程について取り上げます。
保安規程とは、事業用電気工作物を設置した場合に設置者が作成する点検・異常対応に必要なものです。現場で電気事故が発生しないようにそれぞれの事業用電気工作物に合わせて事業用電気工作物を設置する者が作成・届出をします。
電気事業法第四十二条では、次のように規定されています。
1、事業用電気工作物を設置する者(設置者)は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、主務省令で定めるところにより、保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用の開始前(商用電気を受電する前)に、主務大臣に届出なければならない。
2、事業用電気工作物を設置する者は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を主務大臣に届出なければならない。
3、主務大臣は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、保安規程を変更すべきことを命ずることができる。
4、事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。
保安規程は自主的に制定するだけではなく、主務大臣への届出が必要です。主務大臣には、必要と判断されれば保安規程の変更を命じる権限も与えられているため、事業用電気工作物の安全管理について、国が直接的に管理しているということになります。ですが、この保安規程は自主的に制定するということは設置者に対しての「自主保安」を意味し、設置者責任が重くなることを意味します。それはつまり電気主任技術者の責任も重くなることを意味します。
そして、保安規程に定めるべき内容は、電気事業法施工規則第五十条第二項と第三項で定められています。
送配電や発電事業での事業用電気工作物に関しては第二項が適用され、それ以外の事業用電気工作物に関しては第三項が適用されます。含めるべき内容は下記の9つです。
- 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の職務(統括管理者)及び組織に関すること。
- 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する保安教育に関すること。
- 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための巡視、点検及び検査(点検周期等)に関すること。
- 事業用電気工作物の運転又は操作に関すること。
- 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
- 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。(地震・風水害時の対応方法・指揮命令系統)
- 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること。(点検記録の保存等)
- 事業用電気工作物の法定事業者検査に係る実施体制及び記録の保存に関すること。
- その他事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安に関して必要な事項。
保安規程からの出題は、ほとんどが太字部分の穴埋め問題となります。保安規程に関する条項はそれぞれが似たような条項が多いので、微妙な違いを区別出来るようにしっかり勉強しておきましょう。
◎まとめ:保安規程を届出するのは、「電気主任技術者」ではなく、「事業用電気工作物を設置する者=設置者」となります。ここは、よく引っ掛け問題として出されるので要注意です!

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