
安全に電力を送電する対策の一つとして、送電線では三相3線式の中性点に接地する中性点接地があります。
なぜ接地をすると安全な送電ができるのかというと、異常電圧や漏電による地絡が発生した場合に安全に電力を地面に逃すことができるからです。
そこで本項では、中性点接地の目的や種類を取り上げます。
中性点設置は安全対策の一つですが、目的は以下の3つです。
- 地絡故障による異常電圧の発生を抑える
- 地絡故障時の保護継電器の動作を確実にする
- 1線完全地絡事故による対地電圧の上昇と機器の絶縁レベルを抑える
異常時の電圧上昇や地絡電流を出来るだけ調節することによって絶縁性の安全性だけでなく、
経済性も高めているということですね!!
次に中性点接地の種類について説明します。
以下の4つの方式がありますが、目的に応じて使い分けられているので、特徴を理解しておきましょう。
非接地方式
中性点を設置しない方式で、設置抵抗が大きく地絡電流が小さいという特徴があります。
地絡電流が小さいため、保護継電器で検出しづらく回線の選択遮断には不向きなのも特徴の一つです。
地絡電流が少ないと言うことは、誘導障害が起こりにくいという特性があります。
また、異常時に電圧が上昇しやすいということから、33(kV)以下の短距離送電線路で用いられています。
直接接地方式
中性点を直接接地する方式で、接地抵抗が小さく(0に近く)地絡電流が大きくなる特徴があります。
異常電圧が小さく、保護継電器の動作が確実になるので事故の検出が早くできることや、健全層の電圧が影響を受けないことがメリットです。
異常時に電圧が上昇しにくいことから、高圧の送配電系統で用いられています。
一方で、デメリットとしては地絡時に大電流が流れてしまうことの危険性やそれによる誘導障害が挙げられます。
抵抗接地方式
抵抗接地方式は、図のように中性点と大地の間に100〜1000Ωの抵抗を接地する方式です。
地絡電流が非接地方式より大きく直接接地方式より小さくなるので、この二つの方式の中間的な役割として、33〜154(kV)ほどの特高送電線で用いられます。
消弧リアクトル接地方式
消弧リアクトル方式は、図のように中性点にリアクタンスを接続する方式です。
送電線と地面の間はコンデンサの等価回路とみなせるため、送電線には静電容量が存在します。地絡事故が発生しても、送電線の対地静電容量とリアクタンスが「並列共振」して、地絡電流が0になります。並列共振の特性として、「インピーダンスは無限大とみなせるので、非接地方式よりも地絡電流が流れなくなる」ということは押さえておくべきでしょう。
しかし、この方式は送電線の静電容量に合わせてリアクタンスの容量も増やさなければならないので、用いられるのは雷害が多い場所など限られた場所です。
まとめとして、中性点接地は安全な電力供給において重要な対策の一つです。
送電線路の事故防止に関しては、実務としても試験対策としても覚えるようにしてください。
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